ミュゲ書房

著者 :
  • KADOKAWA (2021年3月17日発売)
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本棚登録 : 782
感想 : 88
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本作品はKADOKAWAの「カクヨム」という、小説を書いたり読んだりできるサイトに投稿した作品が書籍化されたものだが、
まさに、本書のストーリーに重なる。

丸山出版のWeb小説サイト「ソウサク」に投稿した「リベンジ」という作品を本にして出版するという話。
「リベンジ」=「ミュゲ書房」、広川蒼汰 = 伊藤調 として読んでみるのも良いかな。

伊藤調は男性と決めつけていたが、本書を読んで女性かも知れないと思う。

で、チョット調べていたら著者による読者へのインタビューのページを見つけた。
(伊藤調さんの正体はわからないが、雰囲気が伝わってくる)
https://kadobun.jp/feature/interview/2yt1urslj9mo.html

本に関する小説はいい人がたくさん登場するので気持ちよく読めるが、本書では大手出版社が悪役になっている。
その悪役の編集長にプライドを傷つける言葉を浴びせスカッとする場面があるが、それゆえ編集長の個人的な感情による露骨な嫌がらせを受けることになる。
が、地道に築いてきた人とのつながりから希望の光を見つけ出し「リベンジ」を人気作品に導くので、めでたしめでたしで物語は終わる。

"丸山"出版は"角川"を想像させる名前で、権力を武器にビジネスをする会社像に描かれている。
現実にKADOKAWAは東京五輪汚職で経営陣のモラルに問題ありのイメージが付いたので、本作品の設定にぴったしになってしまった。

「ミュゲ書房」は小さな出版社からではなく角川書店からの発行なので、「リベンジ」ではなかったですね。
「ミュゲ」=「すずらん」、「すずらんの花言葉」=「再び幸福が訪れる」。
そんな雰囲気を持った本屋さんの物語でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説 - 日本
感想投稿日 : 2022年11月20日
読了日 : 2022年11月20日
本棚登録日 : 2022年11月2日

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