「あ」が使えなくなると「愛」も「あなた」も使えなくなった。
文字が1文字ずつ消えてゆき、最終的には何も無くなるという斬新な小説。
驚くべきことに、この文字だらけの小説には最初から「あ」がないのだ。
愛、あなた、表す、あれ、あの、〜ある、明日… そんな馬鹿な!
よーし、私も「あ」抜きで行こう!
最初に消える文字が「ぱ」なら分かる。
『だって〝ぱ〟なら普通に文章を書くに◯たり、登場頻度が少ないのは◯きらか!』
もとい…
『だって、〝ぱ〟なら普通に文章を書きつづるに、登場頻度が少ないのは比較的に常』
つまり、こういうこと。
文字が消えると,語彙も失われる。
変わる語彙が必要となる。
1文字ずつ消えてゆく世界で、どんな物語が紡がれるのだろうと、読み出すと止まらなくなるけど、物語という物語は実はない。小説、壮大な言葉の戯れとして楽しむ一冊。
ただただ、作者の裁量に驚くことしかり。
1部でワクワクし、2部でからかわれているような気になり、3部で関心の唸りを発する。
今年の23冊目
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
筒井康隆
- 感想投稿日 : 2022年5月31日
- 読了日 : 2022年5月30日
- 本棚登録日 : 2022年5月30日
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