読書のちから

著者 :
  • 亜紀書房 (2020年11月25日発売)
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苦しみや「かなしみ」が私たちに教えるのは、答えではなく問いの深まりである。-情愛の泉

自分の生きる意味を探して、自分のために時間を費やすのではなく、他者に「時」をささげ、共感と理解を深めるなかにこそ人は、自らの「傷」を「愛」へと変容させる道を見出す。-いのちを生きる

だが、よく考えてみれば私たちはつねに、日々を死と隣り合わせに生きている。日ごろあまり意識しないが、人はつねに、生きつつあるとともに死につつある。
日々、死に近づいているにもかかわらず人は、いかに生きるかばかりを考え、いかに死を迎えるかという問題を見過ごしている。
「死の床にある人、絶望の底にある人を救うことができるのは、医療ではなくて言葉である。宗教でもなくて、言葉である」。「死」に力点を置いて読むとき、この一節が、異なる光を放つのが分かるだろう。-たましいの糧

わたしが地上を去るとき、別れのことばにこう言って逝かせてくださいー「この世でわたしが見てきたもの、それはたぐいなくすばらしいものでした」と。
「光の海に咲きほこるこの蓮華の秘められた蜜の甘さをわたしは味わった、こうしてわたしは祝福されたのです」ーこれをわたしの別れのことばにさせてください。-十読は一写に如かず

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年11月30日
読了日 : 2023年11月30日
本棚登録日 : 2023年11月29日

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