誰もみな、雨の中「ひとりでカラカサさしてゆく」しかない、ということなんだろう。そこにはすごい諦念があるように思うのだが、荒んだ感じではないところが、著者の小説の特徴なのかもしれない。
長年の友人であった老人三人(男二人女一人)が一緒に死のうとするのは、まあ全くわからないわけではないけれど、なぜここまでショッキングな形(ホテルで猟銃自殺)なのか、納得できるような説明はされない。その波をかぶる周囲の人たちがいろいろ登場するが、特に誰かに焦点があたることはなく、共感を誘うような人もいない。断片的とも言える描写は、人生はそうそうわかりやすく変わったりしないという意味合いなのだろうか。もやもやふわふわとした読後感が残った。
オマケ
自死する三人のうちの一人知佐子さんが、「雨ふりお月さん」の歌詞について「子どものころ、お嫁にゆくのはお月さんだと思ってた」と話すくだりがある。そう!私もずっとそう思ってた。お嫁になんか行くはずのないお月さんをちょっとからかってる歌なんだと。曲調も詞も好きな歌で、この本もタイトルにひかれて読みました。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本の小説
- 感想投稿日 : 2022年2月25日
- 読了日 : 2022年2月24日
- 本棚登録日 : 2022年2月24日
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コメント 2件
niwatokoさんのコメント
2022/02/25
たまもひさんのコメント
2022/02/25