もうキツネの子がかわいくて仕方ない。
寂しがりで少しずるくて、でも素直で一生懸命で。
「ともだちはいりませんか。」
「ともだち いちじかん ひゃくえん。」
と売ってまわる寂しくて友達の欲しいキツネ。
ここで、「100円払うから友達になって下さい。」じゃないところが、このキツネのいいところ。
友達はいないけれど、卑屈さはなくて、自分を売っていけるほど実は自己肯定感はしっかり高め。格好もお祭りめいて楽しそう。
寂しいのは自分なのに、100円で友達になってあげるよ、なんて無自覚なズルさが愛おしい。
お仕事だからと食べれないイチゴを飲み込んで笑って、しくしく痛いお腹を抱えてお客さんを探す一生懸命さも。
オオカミに金を取るなんてと怒られて、本当の友達だと言われると、あっと言う間に嬉しくなって、ただにしちゃう素直さも、なんてかわいいんだろう。
そして終わり方がとても良い。
「ともだちはいりませんか。さびしいひとはいませんか。」と自分の為に呼びかけていたキツネが、
オオカミという友達ができた後にもまた
「ともだちはいりませんか。さびしいひとはいませんか。」と呼びかけている。
今度は誰かの為に。ただで。
キツネの心の成長が見える温かいラストだった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
絵本
- 感想投稿日 : 2021年11月20日
- 読了日 : 2021年11月19日
- 本棚登録日 : 2021年11月19日
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