大きな期待を背負い、ヒトらしさを志向しながらヒトにはなりきれない、ロボットの現状。それを率直に受け止めて、人とロボットとの関わりやロボットの生態学的なポジションについて議論を進める。
人間の代わりに働くロボットと、機械のように既定のシステムに従う人間。ロボットの采配に従うしかできない人間の弱さが、そこには浮き彫りとなって表われているかのようで、痛々しい。そこにあるのは、一方向的で、なにかが成熟することもない関係性だ。ソーシャルなロボットの今後を考えるうえで、こうした関係を乗り越えるにはどうしたらいいのか。
この本では、その答えとして、次のような趣旨でまとまっている。すなわち、何にも依存せずに働けるロボットよりも、積極的に周囲に依存し互いに支え合えるような「弱い」ロボットにこそ、人とロボットの共生の道は拓けている、というように。
全体として同じ方向を向いてはいても、それぞれの筆者のアプローチは様々で面白い。
特に、社会的ロボットというとつい1対1の対話を思い浮かべるけれど、三項関係を基軸にすべきであるという提言が、新鮮に感じられた。
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- 感想投稿日 : 2015年4月8日
- 読了日 : 2015年4月7日
- 本棚登録日 : 2015年4月7日
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