ゆめつげ (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2008年4月25日発売)
3.45
  • (130)
  • (318)
  • (523)
  • (71)
  • (14)
本棚登録 : 2818
感想 : 248
3

「しゃばけ」で人気の畠中 恵。そちらにちょいと乗り遅れたので初登場の角川文庫で。
江戸末期、上野の小さな神社の神官、川辺弓月と弟・信行。兄の弓月は、夢に入って過去や未来を見る「夢告」の能力をもっていたが、幾分ピンボケで判るようで判らぬことも多い。
そんな弓月のもとに、ある日、幼い頃に地震に遭い行方不明になった大店の一人息子・新太郎の行方を占って欲しいという依頼が舞い込む。礼金目当てに引き受けたところ、事態は思わぬ方向に…。
ゆっくりとした語り口ながら事態はどんどん転がって、単なる迷子探しの筈がそれで終わらず、終盤、弓月が決して丈夫とはいえない体に無理を重ねて「夢告」を続けるところは夢と現の間を行ったり来たりでまずまず読ませる。
江戸時代末期の大政奉還の騒ぎまで塗して、まあそれは文脈上あるとして、最後の夢はそこだけトーンが生々しく、その分後口が複雑微妙。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2008年読んだ本
感想投稿日 : 2008年5月11日
読了日 : 2008年5月6日
本棚登録日 : 2008年5月11日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする