「螺旋」プロジェクトの6冊目。初読みの作者さん。今度は昭和初期、戦時中の児童疎開によって出会った二人の少女の物語。
蒼い目の清子ととがった耳のリツ。血の呪縛の宿命に理由も知らず互いを嫌悪するふたりの対立と微妙な心の変化が描かれる。
『螺旋プロジェクト』ではなく単品で読んだとしたらこの対立の背景が分かりにくい気がするが、訳もなくがっつり忌み嫌いあうふたりが螺旋のお守りをキーにして距離を縮めていく様にはこのプロジェクトの底流にあるものがしっかり描かれていたように思えた。
素直な筋立てにはちょっと物足りないところもあったが、言いたいことが言えない戦時下の状況や、それでも自分を律して生きることの美しさや、敵対する相手であっても自分の気持ちをそのままぶつけることなく自制することの大事さなども描かれて、佳い話になったようにも思う。なんとなく青少年向けという感じだったけどね。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
2023年読んだ本
- 感想投稿日 : 2023年6月24日
- 読了日 : 2023年6月23日
- 本棚登録日 : 2023年6月24日
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