死者にこそふさわしいその場所

著者 :
  • 文藝春秋 (2021年8月25日発売)
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本棚登録 : 312
感想 : 17
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植物園のある町を舞台に、世間が決めた型からどうしようもなくはみ出してしまう人々の日常を描く連作短編集。
いやいや…連なるな連なるな!!
歪んだ性癖を持つ男、裸踊りをする老夫婦、公開生活する男、世界の速さに取り残される女、精神病患者を演じる会員制倶楽部、ドM宗教家。

そして表題作である最後の章で混ぜるな危険が大集結するのである。悍ましや。
世間のスピードにはついていけなかったのに狂うスピードでは勝っていた女が「また追い抜かれました」とつぶやいたのには笑った。それほどの疾走感のある狂い方が描かれている。爽快。
圧倒的自由を求めて狂いたくなる、そんな作品であった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年9月21日
読了日 : 2023年9月21日
本棚登録日 : 2023年9月21日

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