トヨトミの逆襲: 小説・巨大自動車企業

著者 :
  • 小学館 (2019年11月27日発売)
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感想 : 76
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面白かった「トヨトミの野望」の続編。
こちらも面白そうなので、文庫で買う前に図書館から。

※トヨトミの野望
https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4062196077#comment

続編の逆襲は、社長を引き継いだ統一さん(豊田章男氏がモデル)が主人公。
著者は、豊田章男氏をそこまで評価していないっぽいので、
「せいぜい部長どまり」など結構、ディスっているのですが、
前作の公聴会での謝罪など、今回も出るところは意外にしっかりとやってくれる統一さんです。
この本では、途中から今後のトヨタの未来を空想する展開になっていて、
若干リアリティーが薄まったような気がしますが、
大企業のリアリティーを肌で感じるにはもってこいの小説でした。
(特に、自分のように大企業を経験したことのない人間にとっては。)

ガソリンエンジンの自動車からEVへシフトが起こる中、
傘下の下請け企業をどのようにマネジメントしていくのか?は、
大企業ならではの悩みですね。。
統一さんの小説内のコメントは綺麗事にしか感じませんでしたが、
これ実際にはとても扱いが難しくて、
トップとしては本音と建て前を使い分けないとやっていけないわな…と
ヒリヒリした思いを感じました。
一言でいえば、両利きの経営なのかもしれないですが、
経営のリアルはそんなに簡単じゃないというのが
小説を通じて(ほんの少しですが)伝わってきます。

もう現代を超えてしまったので、
この小説の続編が出ることはしばらくはなさそうですが、
著者が今後どんなビジネス小説を出していくのか楽しみに待ちたいと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年5月30日
読了日 : 2022年5月27日
本棚登録日 : 2022年5月20日

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