最貧困女子

著者 :
  • 幻冬舎 (2014年11月7日発売)
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人は低所得のみならず「3つの無縁」と「3つの障害」で貧困に陥るというのは実に的を射た指摘だなと思いました。 3つの無縁とは家庭の無縁・地域の無縁・制度の無縁で、3つの障害とは精神障害・発達障害・知的障害になります。
これらの無縁と障害は、生まれつきの場合、幼少期のネグレクト・虐待・不十分な教育などの周囲の環境によっても引き起こされ複数どころか、全てを抱え込んでしまい貧困に陥ってるケースも多いでしょうね。

セックス産業においても競争原理が働き、特に地方におけるセックスワークは、少なくない収入源として成立していることで、容姿が優れプロ意識を持った女性が集まっている、その結果としてそうではない女性たちがセックスワークからもこぼれ落ちている現状があります。
生きていけないほどの貧困が現代の日本において女性たちに降りかかっていることがまず可視化され、そしてどのように制度がされていくべきか改めて考えさせられます。著者も本書中で制度について様々な提言を行っていますが、そもそもそうした貧困の現実に十分にスポットライトが当てられておりません。政治やメディアの責任というのは簡単ですが、そうした考えるだけで暗鬱になってしまう問題から目を逸らし続けた大人たちにも責任の一旦はあると思います(買春を行ってきた人たちは論外として)
まずは十分に女性の貧困について可視化されるようにする。そのためにどうしたらいいのか考えることから始めることですかね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ジェンダー
感想投稿日 : 2020年3月20日
読了日 : 2020年3月20日
本棚登録日 : 2020年3月20日

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