タイトルがまず本当に良い。すべてが詰まってる。
高校生の頃、深夜ラジオを聴いていたころを思い出した。
田舎の片隅、山の奥の一軒家の子供部屋で。
雑音だらけの電波を受信しようとアルミホイル巻いたアンテナ目一杯立てて方向もダイヤルも微調整しまくった赤いダブルデッキで。
下ネタだらけのオールナイトニッポン。
静かで真っ暗な夜の底でラジオから聞こえてくる人の声だけが明るい、あの感覚。
時代が変わっても、見知らぬ誰か達とつながっている、心強さみたいなものは変わらないのだなあと。
あと、ラスト近くでコンビニでの深夜バイト、2人で8時間も10時間も過ごすことはなくなるのだな、と主人公がふと思う、その猛烈なさびしさとかにも覚えがあって。
未来へ進むためのステップの一つだからどうしようもないんだけど、それでもさびしいっていう感覚。モラトリアムの贅沢と言わば言え。あーわかる、ってなった。
リアルな若者とか言うとかっこわるいのかな。
でもこんなだよね。
つながり方も。
家族構成も最終学歴も知らない。
でもどんな声で歌うのかとか、どんなネタが好きなのかは知ってる。
良し悪しではなくてそういうものなんだっていうのを切り取って見せてくれてる。
明るい夜に出かけて。
とりあえずradikoでアルピーの番組は聞いてみたよ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2017年7月31日
- 読了日 : 2017年8月3日
- 本棚登録日 : 2017年7月29日
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