勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版 (文春文庫 ち 9-1)

著者 :
  • 文藝春秋 (2020年3月10日発売)
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感想 : 89
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時々本を置いて、ゆっくり咀嚼しながら読んだ。とても面白かった。これからの勉強に必ず役に立つ。
「勉強の目的とは、これまでとは違うバカになることなのです。」
私たちが普段、無自覚に使っている言語を、深く考察している。
「人生のステージ」が上がることで周りの人と話が合わなくなる、というのはこういうことなのかな、と思った。その覚悟がある人だけが、勉強を続けることが出来るんだろう。
「無自覚に、ユーモア的なコード変換を次々にやってしまう」のはADHDにありがち、無自覚なアイロニーはASDっぽいな。

何かを知ろうとしたら深追いしすぎたり目移りしたりして元々のテーマを見失ったりするのは、良くあることらしい。
深追い→目移り→深追い→目移り…というプロセスを止めて、ある程度でよしとするのが勉強の有限化。
ある程度の深追いをしたら、横方向に比較をする。そして結論を仮固定しても、比較を続けること。足場となるのは「私の享楽」。
「信頼に値する他者は、粘り強く比較を続けている人である。」

自分の享楽を知るために「欲望年表」を作るに当たって、過去を思い出していたら、埼玉の小学校に通っていた時代がとても幸せだったことを思い出して、心が温かくなった。
勉強を有限化しつつ継続するためのテクニックが具体的に紹介されているのがありがたい。
ネットより紙。「まとも」な本を読むことが勉強の基本。本の選び方も教えてくれる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2021年10月20日
読了日 : 2021年10月20日
本棚登録日 : 2021年10月20日

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