風神雷神 Juppiter,Aeolus(上)

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  • PHP研究所 (2019年10月29日発売)
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著者のアート小説(長編)は、現代パートからスタートし、キュレーターに作品の来歴や現代的な評価を語らせた後、作品創作を巡る過去の物語(本編)が紡がれる、というのがお決まりのパターン。本作では、プロローグでキュレーターの彩に、国宝「風神雷神図屏風」の構図の妙と、作者俵屋宗達が謎に包まれていることを語らせたあと、16世紀にタイムトリップ。

本編は、「風神雷神図屏風」を描いた謎の天才絵師、俵屋宗達と、天正遣欧少年使節団(4人)の一員としてローマ教皇に謁見した原マルティノの二人の少年を中心とした戦国時代の壮大な冒険譚。信仰心篤いピュアなキリシタン少年と、ひたすら芸術を追求するピュアな少年絵師の絆の物語。

「宗達」と言う名前は、天才少年絵師が織田信長から直々に給ったもので、信長にすっかり気に入られた宗達は、信長の命で狩野永徳と共に洛中洛外図を完成させ、更には、その洛中洛外図をローマ教皇に献上すべく、遣欧使節団と共にローマへ派遣される、だなんて…。なんと大胆なプロットなんだろう。登場人物は悉く実在の人物なのだが、ストーリーの大部分はフィクション。時代小説になるのかな?

登場人物が生き生きとしていて、展開もスピーディーなので、物語にぐいぐい引き込まれていく。陰謀や裏切りなど、人間の負の面がほとんど描かれておらず、安心して読めるのもいい。

上巻は、宗達とマルティノの生い立ち、二人の出会い、そして長崎から船出した使節団がマラッカに到着し、インドのゴアに向けて再び出航したところまでを描いている。

下巻、ローマでの教皇謁見の場面などの山場が楽しみ!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 時代小説
感想投稿日 : 2022年2月3日
読了日 : 2022年2月2日
本棚登録日 : 2022年2月1日

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