BORN TO RUN 走るために生まれた ―ウルトラランナーVS人類最強の“走る民族”

  • NHK出版 (2010年2月23日発売)
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感想 : 15
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「一介の記者で、タラマウラ族の秘密を知りたい故障持ちのランナー」の著者が、ウルトラマラソンの世界、タラマウラ族の健脚の秘密、人類にとっての走ることの意味(ランニングマン説)、そして2006年にタラマウラ族の地元(メキシコの荒野の奥地、銅峡谷にある寂れた鉱山の町ウリケ)で人知れず開催された究極のウルトラマラソン競技大会の顛末について綴った書。「走るために生まれたと思わないとしたら、あなたは歴史を否定しているだけではすまない。あなたという人間を否定しているのです」! 2009年刊行。

ウルトラマラソンの世界、ぶっ飛んでるな。あの過酷なマラソンがオママゴトのように思えてしまうんだから。読んでるうちに体を動かしたくなってくる。

本書から得た知見を纏めると、以下の4つかな。

・マラソンの数倍の距離と半端ない高低差で肉体をトコトン酷使するウルトラランニング/マラソンは、「女子が男子よりも強く、老人が若者よりも強く、サンダルを履いた石器時代の男たちが誰よりも強い」常識外れのスポーツ。そして体力自慢のおっさんだけでなく若者や女性にも人気のアウトドアスポーツ/イベントになりつつある。

・メキシコの奥地に暮らすタラマウラ族は、「超人的なタフネスと静謐ぶり」を示す「世界で最も健康かつ穏やかな民族で、史上最強のランナー」。

・高機能シューズは故障の源、裸足こそが足を鍛えトラブルを防ぐ。「シューズを履くのは、足にギプスをはめるようなもの」、「ランニングシューズは、人間の足を襲う史上最大の破壊勢力」、「靴を脱ぎ捨てさえすれば、一世代のあいだに一般的な足の障害は根絶される」。そして諸悪の根源は儲け主義に走るシューメーカー・ナイキ。

・持久狩猟でネアンデルタール人に競り勝った人類は「走るために進化した」(ランニングマン説)。「人間にとって走ることとは、速く進むことではなく、遠くへ行くこと」、「汗腺が数百万もある人間は、進化の市場に現れた史上最高の空冷エンジン」、「人間を健康にする特効薬があるとすれば、それは走ること」。

本書、内容的になかなか興味深かったが、色んな登場人物をファーストネーム、ファミリーネーム、愛称ごちゃ混ぜで書くのは分かり難いからやめて欲しい! あと、ナイキをかなりディスってるけど大丈夫だったのか?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2023年7月31日
読了日 : 2023年7月31日
本棚登録日 : 2023年7月30日

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