インドの時代―豊かさと苦悩の幕開け (新潮文庫)

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  • 新潮社 (2008年12月20日発売)
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中島岳志著「インドの時代」を読んだ。30年前、一ヶ月余りインドのプーナという町に滞在したことがある。当時はヒッピーブームに代表される若者文化の風が吹いていた時代で、ビートルズなどもインドのグル(日本の禅の高僧みたいな存在)を訪れていた。私も青春の迷いの中で、「究極の詩」という本に出会ったのがきっかけで退職し、日本から遠く離れたの異国の田舎町に飛んだ。生まれてはじめての海外への旅であった。その町にはこの本でも紹介されている和尚(当時はバグワンと呼んでいたグル)のアシュラムがあった。今で言う自分探しの若者が、小さなインドの町に世界中から集まっていた。当時私が解決しようともがいていた自身の問題は、ここ10年くらいでようやく少しは答えが見えたような気がする。

ただ私がどうあれ、永遠に答えのないのがこの世である。
サブプライム、世界同時不況、人口・食料・環境・エネルギー問題・・・・・・
深刻に考えるつもりはない。
この世界の不条理と悲惨に絶句することはあっても、悲喜こもごもすべて受け入れて生きていかざるを得ない。

今後の日本、世界の運命は?
書物やマスコミやインターネットなど素人が手に入る情報だけを前提の話。
1.このままでは地球のエネルギーは数十年後には人類に必要な量は確保できなくなる。
2.エネルギーが確保できないということは、まず食料が確保できないということ。
食料だけでなく石油に依存してきた現代の都市環境全般が維持できないということ。
その原因のなかで大きいのは、中国・インドの人口の加速的な増大。
野生動物は自然環境によって生息数が淘汰されるが、知恵のある人間は自然を超えて増殖する。
単純明快な解決策は勿論ないが、人口13億の中国と11億のインドの今後の趨勢がこれからの世界に大きな影響を与えることはあきらかである。
脱化石燃料で太陽エネルギー(太陽光、風力等)の利用や省エネの推進で、中国やインドを含めた世界の人口増を維持できるかが21世紀最大の課題である。
  

本の読後感を書くつもりが大きな話から入ってなかなか書評に入れない。この本は以上の人類的課題に関連して興味深い本なのです。

少しお疲れなので、つづきは又。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2010年10月31日
読了日 : 2010年10月31日
本棚登録日 : 2010年10月31日

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