新鋭作家たちによる学園ミステリーアンソロジー
個人的に好きなのは『ボールがない』
なくなったボールが見つかるまで居残りをさせられている野球部が推理によって最後の一つのボールの行方を探る話
ただやみくもに探すのでなく、いかにボールのありそうなところをつぶしていき最後につなげるのか。部員同士でディスカッションしつつ話が展開していくので、推理の過程が分かりやすく面白かったです。
『横槍ワイン』は映画鑑賞中に映画同好会の一人にワインがひっかけられるという事件の真相を推理するという話。
著者である市井豊さんの『聴き屋の芸術学部祭』シリーズの一編で、キャラのよさ、会話の軽妙さは今回も健在!軽く読ませるあたりもさることながら、真相へのロジックに四苦八苦する探偵、柏木君の奮闘ぷりもまたいいです。
『スプリング・ハズ・カム』は同窓会の席で卒業式の日に起こった放送室ジャック事件の犯人を推理する話
どちらかというと青臭い話の多かったこのアンソロジーの中で少しさびしくて、でも心の中をきれいな気持ちにさせてくれる短編でした。
余談ですが、この本には著作リストもついていて、2011年刊行予定と書いてある作品も何作かあるのですが、そのうちの五分の二がまだ出ていないみたいです。本を出版するという難しさをこんなところで感じました。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ミステリー・サスペンス
- 感想投稿日 : 2013年4月5日
- 読了日 : 2013年3月28日
- 本棚登録日 : 2013年3月25日
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