(046)「本が売れない」というけれど (ポプラ新書 な 3-1)

著者 :
  • ポプラ社 (2014年11月4日発売)
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感想 : 47
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 出版業の変化、書店の変化、消費者の変化から現代の出版不況を考えた新書。

 出版不況とよく言われますが、そのあおりをもろに
くらっているのが雑誌だそうで、今の出版不況も雑誌の
売上の大幅な落ち込みが大きいそうです。
(そういえば最近でも週刊アスキーの休刊が話題になりました)

 僕自身、雑誌は図書館で読むことはありますが、買う
という経験はほとんどありません。
雑誌は文字通り色々な記事や情報を載せていて、そうした
情報を得ることが難しかった時代には売れたのだと思
いますが、現代ではインターネット等でそうした情報を
早くしかも無料で見れる機会が多いので、雑誌の売り上げが
減ることは仕方ないのかな、という気はします。

 では、読書離れ、活字離れについてはどう考えるか?

 著者が指摘するのは「新刊の本が売れていないので
はないか」ということです。

 それと関連して著者が指摘するのは90年代から
商売を始めたブックオフの急成長や図書館の貸し出し
冊数の増加。
本当に活字離れが起きているなら古書店のブックオフの
急成長や貸し出し冊数の増加が説明できない、という
論理です。

 この説明がものすごく自分の読書の仕方にあっていました。
僕自身、本を買う時ブックオフで安く売られている可能性や
図書館で借りてもいいんじゃないか、という選択肢を
常に考えつつ、それでも「今読みたいか」
「買って読みたいか」を軸に本を買うか決めています。
そのため結果として本屋で買わず、ブックオフで買ったり
図書館で借りたりということも多いです。
(というか、家にある本のほとんどがブックオフですが)

 こういう選択肢で本を買うか選んでいる人は決して
少なくないのではないかと思います。

 町の中小規模の本屋の現状についても触れられています。
 僕がよく行くのは駅前にあるショッピングモール内の
大型書店です。そこは約一年前にできたのですが、休日は
とてもにぎわっていてレジまで長蛇の列ができている
こともあります。

僕はそれまではいわゆる中小規模の本屋を利用
していましたが品揃えがいいのと、駅前で他の用事
も済ませられるということで、自然と利用頻度が移って
いったという印象です。

 町の本屋が消えた理由として著者は町の本屋の利便性
そして品揃えの悪さを挙げます。そりゃ同じ本屋に行く
なら品揃えがよく、他の用事も済ませられるところに
行く方が効率がいいですしね。

 また僕がよく行く本屋は、そこで本を買うとそこの
ショッピングモールのポイントがつきます。
こうなるとやはり町の本屋は勝てないよな、と正直
思ってしまいます。

 電子書籍の章についてもう少し読みたかったかな、と
少し思いましたが、全体的になるほど、と思えるところが多く、
本好き、本屋好きなら読んでも損はないと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション・新書・エッセイ・評論など
感想投稿日 : 2015年6月25日
読了日 : 2015年6月20日
本棚登録日 : 2015年6月14日

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