影の現象学 (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社 (1987年12月10日発売)
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本棚登録 : 942
感想 : 61
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 もとは1976(昭和51)年に単行本として刊行。
「トリックスター」について調べていて田熊友紀子著『現代のトリックスターと心理療法』(2021)で本書がけっこう言及されていたので読んでおくことにした。
 ユング派の精神分析医・研究者の河合隼雄さんの本は昔から何冊か読んできた。が、どうもユングやユング派の心理学は物語志向が強く、「文学」になってしまいがちな危うさを感じてしまう。ユングを面白がる人も多いのだが、私の場合、どうも良いタイミングでユングに出会えなかったようだ。
 本書は、それでも平易すぎるほどでもなく、臨床例がしばしば具体的に挙げられているので、ずっと興味を持って読み通すことができた。トリックスターについてはごく短い章で簡単に触れられている程度だが、それでも本書のテーマ「影」(たとえば、認めがたい自己の半身)はだんだんと面白くなってきたし、読み応えがあった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 精神医学・心理学
感想投稿日 : 2023年11月28日
読了日 : 2023年11月27日
本棚登録日 : 2023年11月27日

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