もとは1976(昭和51)年に単行本として刊行。
「トリックスター」について調べていて田熊友紀子著『現代のトリックスターと心理療法』(2021)で本書がけっこう言及されていたので読んでおくことにした。
ユング派の精神分析医・研究者の河合隼雄さんの本は昔から何冊か読んできた。が、どうもユングやユング派の心理学は物語志向が強く、「文学」になってしまいがちな危うさを感じてしまう。ユングを面白がる人も多いのだが、私の場合、どうも良いタイミングでユングに出会えなかったようだ。
本書は、それでも平易すぎるほどでもなく、臨床例がしばしば具体的に挙げられているので、ずっと興味を持って読み通すことができた。トリックスターについてはごく短い章で簡単に触れられている程度だが、それでも本書のテーマ「影」(たとえば、認めがたい自己の半身)はだんだんと面白くなってきたし、読み応えがあった。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
精神医学・心理学
- 感想投稿日 : 2023年11月28日
- 読了日 : 2023年11月27日
- 本棚登録日 : 2023年11月27日
みんなの感想をみる