異人論序説 (ちくま学芸文庫 ア 2-1)

著者 :
  • 筑摩書房 (1992年8月1日発売)
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本棚登録 : 193
感想 : 13
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 1985年刊。
 先日読んだ田熊友紀子著『現代のトリックスターと心理療法』の、トリックスター概論の部分で、山口昌男氏の著作と並んでずいぶんとこの本への言及があり、探してみると未読だったので、早速読んでみた。
 が、「トリックスター」という単語が出てくるのは1箇所しかない。本書の「異人」概念はかなり幅の広いものだし、「トリックスター」は神話・虚構の物語に出てくるのに過ぎないのに対し、こちらは現実にさまざまな共同体に起こってくるじっさいの現象を取り上げているのだ。山口昌男氏のトリックスター概念と本書の異人概念は、ほんの少し重なるところがあるだけだ。
 かなり重厚な力作で、示唆するところが大きい。たとえば「王殺し」のテーマの部分なども面白い。
 非常に密度の濃い書物なので、時間が経ったらまた読み直してみるのも良いかもしれない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 人類学・民俗学
感想投稿日 : 2023年9月6日
読了日 : 2023年9月3日
本棚登録日 : 2023年9月3日

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