空中ブランコ ドクター伊良部

著者 :
  • 文藝春秋 (2008年1月10日発売)
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感想 : 39

 『イン・ザ・プール』に続くドクター伊良部シリーズの二作目。「空中ブランコ」「ハリネズミ」「義父のヅラ」「ホットコーナー」「女流作家」の5篇を収録。主人公がなんらかの原因で精神的に不調となり、伊良部総合病院の神経科を訪れる。治療なのか趣味なのかわからない伊良部の診察に困惑しながら付き合ううちに、何かが変わってくる‥‥というパターンは変わらない。

 前作では患者の多様な症状に焦点が当てられていたのに対し、今作ではそれぞれの職業が特徴的だ。それぞれ、サーカス団員、ヤクザ、大学教授、プロ野球選手、小説家。小説家の話に出てくるエピソードはもしかすると作者本人の経験かもしれないなどと想像したり。

 病気の話なのに結局病気は治らない場合が多いのも不思議なシリーズだが、心の病というのはそういうものなのだろう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2018年7月1日
読了日 : 2018年6月29日
本棚登録日 : 2018年7月1日

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