『三四郎』『それから』『門』と続く夏目漱石前期三部作の二作目。主人公の代助は30歳過ぎて就職も結婚もせず、難しい本を読んで高尚な理屈ばかり並べている“高等遊民”。実家を離れて親の金で暮らしているのに何故か家に使用人がいる。親から何度も見合いを紹介されながら断り続けている。そして実は友人の妻に横恋慕している。要するに、気位ばかり高いニートだ。
「働いたら負け」という有名なニートの言葉があるが、就職に対する代助の態度もそんな感じだ。初版発行は1909年なので、100年前からそんな人物がいたのかと思うと、日本のニートの歴史は長さに驚かされる。もちろん代助は架空の人物だが、そういう人が全然ありえなかったわけではないのだろう。
いつまでも結婚せずにいて家族から心配されている点は自分と共通だが、その理由は全然違うし、彼の生き方には共感も羨望も感じない。ただ、かと言って軽蔑する気にもなれないのが不思議なところだ。こういう人が友人にいたら、それなりに面白く付き合えるかもしれない。
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- 感想投稿日 : 2019年1月23日
- 読了日 : 2019年1月21日
- 本棚登録日 : 2019年1月23日
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