世界システム論講義 ──ヨーロッパと近代世界 (ちくま学芸文庫)

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  • 筑摩書房 (2016年1月10日発売)
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感想 : 15

 世界システム論とは、世界を独立した国々の集合体と見るのではなく、全体が繋がったひとつのシステムと捉える考え方だ。その上で、近代以降においてなぜ中華文明圏やイスラム文明圏ではなくヨーロッパ文明圏が世界全体を支配するようになったか、オランダやイギリスと言った各時代の覇権国家がどのように成立し衰退していったか、等について説明している。

 いわゆる先進国と後進国で経済発展に差がついた理由については、前者の国民が後者の国民より優れていたとか努力したとかいうわけではなく、ひとつのシステムの中である部分が発展するためには別の部分の発展が抑えられるという仕組みによるものだと位置付けている。ありていに言えば、ヨーロッパはアジア・アフリカと競争して勝ったのではなく、アジア・アフリカを踏み台にして稼いだということだ。まあ、それはそうだろう。

 放送大学の教科書として書かれたものを一般向けに書籍化した本。1章が1回分と思われる量なので読み進めやすかった。こういう本が他にもあれば読んでみたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2018年6月13日
読了日 : 2018年6月4日
本棚登録日 : 2018年6月13日

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