腑抜けども、悲しみの愛を見せろ (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2007年5月15日発売)
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本棚登録 : 2673
感想 : 390
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つまらなくてくどいシナリオを読まされている感じで、うんざりだった。
過激ぶってるけれど、お姉ちゃんがちょっとイカれてて、自分を特殊な人間だと思ってて、エトセトラ的な何かも、悪いけれどそんな奇抜な設定と思えない。
そのお姉ちゃんのことを漫画に書いたっていうのも、それを書くに至る妹の自己分析的心理描写も浅薄な道徳観を持ち出したりしていて、それが地の文っぽいので作者が浅いと感じられる。
そして文庫にまでなっているのに明らかに推敲段階の見落としと思われる主語の重複、「超自我」の誤った使用、田舎の中学生だか高校生が、「ブードゥー教」に対するつっこみを入れられるという不自然さ。

さらに表現の方で違和感を覚えたところを上げるならば、「水滴が天から頬に降り注いだ。一滴だったそれはすぐに数えきれぬほどの雨粒になり…」というところも、「水滴が…降り注ぐ」という表現方法も個人的には違和感を感じる、そして駄目押し的に「一滴だったそれは…」と続くので、「注ぐ」っておかしくないか?と違和感でモヤモヤ。もし仮に「水滴が天から頬に降り注いだ」の時制を「数えきれぬ雨粒の」の後であると仮定したとしても、そんなにすっきりしないし。単に力不足って感じ、というか文章に誠実でない。
シナリオ的に頭の中にあるイメージをくどく文章で起こしただけっていうか。映画だったら面白いのか?いや…確かに小説よりはマシだと思うけれど通して読んでみて、私には何も響かなかったので、タイトルばかり大げさ、としか思えない。『腑抜けども、悲しみの愛をみせろ』、こんなつまらん心理小説ぶったものが三島賞候補になるなんて。
田舎の家族間の泥沼だったらミステリーとかのがむしろ巧みに描いてるのではないかと想像。

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感想投稿日 : 2013年5月9日
本棚登録日 : 2013年5月9日

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