イギリスの作家クリスチアナ・ブランド、1977年発表の小説。邦訳は2015年。
ウェールズの田園地帯を舞台にしたミステリー。読み終えて、何だかとても物悲しくなる作品ですが、良いです。
ロンドンの人気女優エステラには心身に障害を持つ娘がおり、ウェールズの片田舎で人目を避けて育てられていました。そして、この障害者の娘のものとして新聞に連載されている日記が大衆的人気を博しており、女優エステラの人気の源泉となっていました。しかし、実はその日記はほとんどがエステラの秘書バニーの創作、現実との間には大きなギャップがあったのです。
そんな所へ、シカゴのギャングで15年獄中にあったエステラの夫が、心臓病が悪化したため釈放され、死ぬ前に一目娘を見たいとロンドンにやって来たことから騒動が巻き起こり・・・。
始めの方はコメディーなのかシリアスなのか良くわからないような物語りで戸惑うのですが、事件が起きてからの展開は息もつかせぬものがあり感心します。秘書が主導するエステラのチームと警部とのせめぎ合いが見事。たっぷり描かれているウェールズの田舎の風情も興味深いです。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ミステリー
- 感想投稿日 : 2015年12月31日
- 読了日 : 2015年12月31日
- 本棚登録日 : 2015年12月31日
みんなの感想をみる