しょっぱなから肉を骨からこそげとられて食われた痕跡のある人骨の写真をFAXしてくるダイアナが壊れすぎ。「この壊れっぷりで序盤か!」と恐れ慄いた。
親父が統合失調症で暴れまくり、幼い主人公は震え、頭のいい姉のダイアナがなだめる役割だった。親父の介護から解放され、結婚して息子もできたが、その息子も統合失調症だった。その息子が池でおぼれ死ぬ。そこからダイアナは壊れ始めた。
一番怖いのは引用と引用元だけで会話を成り立たせると言うところ。今まで読んだクックの作品の中で一番怖い。非人間的なまでに狂気全開。たぶん統合失調症について相当取材したんだと思う。
文中「ちゃんとした目的をもって行動しているのに、他人からは狂気以外の何物にも見えないことがある」とダイアナは言っている。それはまさにダイアナのことで、主人公だけでなく読者も最後まで気づかない。
親父もダイアナもダイアナの息子ジェイソンも、そして主人公も声が聞こえていた。それを踏まえると、挿入されている二人称部分は最初は他の作品でもあったクックの演出だと思っていたが、そこの視点は「声」じゃないかと気づいた。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
欧米スリラー
- 感想投稿日 : 2013年3月24日
- 読了日 : 2013年3月24日
- 本棚登録日 : 2013年3月24日
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