近代日本人の発想の諸形式 他四篇 (岩波文庫 緑 96-1)

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  • 岩波書店 (1981年1月16日発売)
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『近代日本人の発想の諸形式』
作家の人生から、その作品を見る。
作家の生き方、作品と日本近代社会の関係を論じる。

日本において、なぜに私小説が形成され、受け入れられたのかが、理解できた。

『近代日本の作家の生活』
明治初期から、どのような社会状況の中で作家が生活していたのかがわかる。

『近代日本の作家の創作方法』
従来の芸術至上主義と私小説を対立したものと見るのではなく、芸術至上主義の作家においては、作品の中で芸術至上主義を貫徹しようとしたのに対し、私小説では、作家の生活上で芸術至上主義を体現しようとしたと見る。

『近代日本における『愛』の虚偽』
司馬遼太郎の言うが如く、日本人には『愛』という観念はなく、恋や惚れたが存在する。
その日本には存在しない愛という観念を作品内に織り込もうとした日本近代作家の不可能性を論じる。

概して有意義な読書であった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2021年5月13日
読了日 : 2021年5月13日
本棚登録日 : 2021年5月13日

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