山霧―毛利元就の妻 (下) (文春文庫) (文春文庫 な 2-33)

著者 :
  • 文藝春秋 (1995年11月10日発売)
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本棚登録 : 308
感想 : 21
3

これは最近の歴史小説の中ではかなりのヒット。いや、これは本当に、よい!!やっぱり女性視点と言うのは大きいかもしれません。女性の好みを判ってるよね。断然読みやすいよね。

ええと、戦国時代の武将毛利元就の、妻おかたをメインにした小説ですね。おかたの一人称というわけではないんですが、文章全体から漂ってくる柔らかさは女性の感性だと思います。とても読みやすいので、女性にはおすすめ。これ、確か昔、大河ドラマの原作にもなっていた気がします。

元就の周りに、頼りになる家来いなさすぎてちょっと切なくなりました。なんていうんでしょう、腹心の部下、とでも言えばいいのか。いや、実際はいたんだと思いますけど物語に登場しないのなんのって。
逆に、いる方が珍しいのか……。確かに、武将自体はフューチャリングされても、その家来ってよっぽどじゃないと出てきませんよね。なんだか、独りでいろんな人の裏切りとかをかわしつつ、っていうのが現代社会に生きる自分からすると悲しい……。信頼できる人は誰もいなかったんですか!!っていう。あ、その信頼ポジションにおかたが入ることによって物語は成り立ってるのね!!判るよ!!でもさぁ!!
っていう。感じ。
元就が、それはもう見事に、全ての出来事をくぐりぬけていってくれるので、読んでる方からすると安心感です。お前千里眼か。

歴史小説、特に戦国時代の物は、まぁ、主人無敵、というか、主人公べた褒めになることが多い。私はそれが好きです。
誰が好き好んでけなされまくる物語を読みたいと。いや、そういうのも悪かないんだけどね……。一体全体この作者は、何故こんなにこの人物をけなすのか、余程嫌いなのか、嫌いならなんでわざわざ書くのか、まさかこれはけなし愛?ツンデレーション?とか、本編に関係ない部分で悩む羽目になります。

恋愛小説のカテゴリにいれてもいいんじゃないかとそう思う程度には、これ、かなり切ないです。切ないというか、まぁ、幸せな切なさではあるんですが、最後の20ページが怒涛。私泣いた。泣きそうじゃなくて。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史
感想投稿日 : 2011年12月18日
読了日 : -
本棚登録日 : 2011年12月18日

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