高校生科学オリンピックの青春 理系の子

  • 文藝春秋 (2012年3月27日発売)
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ちょっと読み始めたらあまりにも面白く一気読み。アメリカのサイエンスフェアISEFは科学の甲子園と考えてもらえば良いか、インテルがスポンサーになって賞金も出る。2009年の出場者6名と過去の出場者5人の物語そしてISEFが開催される。
14歳のテイラーは核融合炉を作った。
ナヴァホの少年ギャレットは喘息の妹のためトレーラーハウスを温めようとゴミ捨て場から車のラジエーターと空き缶で太陽熱の温水装置を作る。
ハンセン病にかかった少女BBは感染力も低く薬で治る病気と聞き、自ら告白し治療により自分の体内の菌の様子を元に参加する。偏見が残る社会で凄い勇気だ。最後の方では近況が紹介され彼ができたらしい。いいね!
デュポンの城下町パーカスバーグの少女ケリードラ(カミツキガメと言う意味らしい)はテフロン原料のPFOAの水質汚染を家族も反対する中独自で調べる。方法は何と煮詰めて振るだけ、そして後に自力で特許を取った。
自閉症のいとこロリーナと心を通じ合わせるためケイラはピアノとアルファベットを組み合わせる方法で言葉を教えた。CNNのヒーローオブジイヤーに選ばれ式場のビデオが流れる。登場したのはロリーナそして一言「ケイラ、大好きだよ」。
そしてISEFのスター、フィリップ・ストライクは自宅学習ののち14歳で大学教授の助手となりカーボンナノチューブの溶解を確認するための装置ストライコメーターを発明し特許を元に会社を起こした。3年間の獲得賞金総額は25万ドル、そして会社の売り上げは5年間で1200万ドルが見込まれている。
アメリカの科学教育は奥が深い。普通の高校にHPLCとフーリエ変換装置が有ると思えば、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団が設立した大学の科目を早期に履修する学校も有る。
日本からも毎回参加しており2011年には千葉の田中里桜さんが米国地質研究所賞の第一位に選ばれている。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 科学
感想投稿日 : 2013年2月20日
読了日 : 2012年5月14日
本棚登録日 : 2012年5月14日

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