雨に消えた向日葵 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎 (2022年3月9日発売)
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感想 : 69
4

初めて読む作家さん。
小学五年生で、かなりの美少女の葵ちゃんが、降りしきる雨の中、下校途中にある田んぼの一本道で忽然といなくなった。学校を出る時、担任の男性教師と顔を合わせている。奈良という刑事を中心に、警察による捜査の過程が詳しく描かれる。

参考文献に、清水潔さんの『殺人犯はそこにいる』が挙げられていました。読んでいると、なるほど、『殺人犯は〜』のフィクション版のような感じです。フィクションだから、いくらか気楽に読めます。が、『殺人犯は〜』を読んで、衝撃を受け、心を痛め、被害者や、被害者家族の気持ちを幾らか伺い知った経験があるので、ドキドキしながら面白く読む自分を許せない感情も出てきて、複雑な読書体験になりました。

捜査の過程がとても詳しく書かれていて、特に奈良刑事の人柄と一生懸命な姿に心を打たれます。この人怪しい、この人も…とハラハラと心が高鳴ります。結局、解決には3年近くの年月がかかりました。えっ、あの時のあの人が犯人…!って、もう面白さが爆発です。

最近は巧妙な筋の物が多い中、真っ直ぐで面白い一冊でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説 日本
感想投稿日 : 2022年9月15日
読了日 : 2022年9月15日
本棚登録日 : 2022年9月15日

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