1987年の韓国。経済は好調だが、チョン・ドファン大統領による軍事政権は対北朝鮮政策を理由にして、国民の選挙権を制限し、秘密警察による監視体制を強化していた。そんな息苦しい社会の中で、警察からの拷問で大学生が死亡する。それを隠蔽しようとする政府に対して、マスコミ、検察、医者、刑務官、学生など様々な階層の国民が怒りの声を上げる。
有名な韓国人俳優が次々と登場するオールスター群像劇。中でも強烈な印象を残すのはキム・ヨンソク演じる秘密警察の責任者。彼が考える正義は明らかに間違っているのだが、自らの信念に従って突き進む。国家のために部下も国民もだまして裏切り続けたあげく、ついには国家に裏切られる。ある意味、彼も被害者だった。これが「ある闘い」の果てだ。
また、彼と対照的なのが一匹狼検察官。仕事熱心だが、業務中に酒は飲むは、上司や警察の言うことも聞かない、怖いもの知らず。緊張感が続くドラマの中で、この人の活躍がいい意味でリラックスできる。
国家が大学生2名を死亡させ、韓国の民主化闘争が起こっていた。それがソウルオリンピックの前年だった。日本はバブル前の成長期だった時代、隣国でこんな大事件が起こっていたことを知っただけでも鑑賞する価値はあった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
歴史モノ
- 感想投稿日 : 2020年8月21日
- 読了日 : 2020年8月21日
- 本棚登録日 : 2020年8月21日
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