わたしがいなかった街で

著者 :
  • 新潮社 (2012年6月29日発売)
3.20
  • (23)
  • (49)
  • (79)
  • (32)
  • (12)
本棚登録 : 611
感想 : 101
2

著者の世代の戦争感が窺える作品なのかもしれない。

今住んでいる街、生まれ育った街、東京の街、祖父母達の世代には戦争があった。戦時中の街は、空襲で焼け、爆撃され、多くの人が死んだ。もし祖父母が戦争の犠牲になっていたなら、今の私は生まれていない。
父と戦争のドキュメンタリーを見たときのこと、私とは無関係に、人々は死んでいった。
どちらも、今の私が存在しない時間、私がいない場所で、起こったことである。
そして、現在の私は、戦争のことを考えている。

わたしがいなかった
過去形である、これからのことではない。

わたしがいなかった街で、戦争があり、人が死んだ。
結末は知っている、それでも何度も確かめる。
パラノイア

わたしがいなかった街で、友人の妹は、慰霊碑を見た。
犠牲者に花をささげる人があった。
体験談は現実で、リアルであった。
パラレルワールド


空中に浮いたような(気分が)現実感がないように思えた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史文化
感想投稿日 : 2013年1月18日
読了日 : 2013年1月15日
本棚登録日 : 2013年1月11日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする