花のレクイエム (新潮文庫 つ 3-11)

著者 :
  • 新潮社 (2002年12月1日発売)
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本棚登録 : 122
感想 : 14
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 辻邦生の短篇集。
 花関連の雑誌に連載されていたらしく、一月に一つの花がテーマとなっていて、12ヶ月分を集めた小品。挿絵には山本容子さんの銅版画が収められている。
 あとがきや挿絵を含めて100ページちょっとなので、どちらかというと掌集と言った感じ。

 辻邦生というと自分は「言葉の箱」という文章指南の本を手に取ったのが一番始めの出会い。その流れで一回は氏の小説も読んでみようと思い、値段も手頃だったので購入した。
 購入したのは数年前だったが、結局今までまともに読まずに置いてあった。なので、この度通して読んでみた。

 とにかく文字数が少ないので、ワンシチュエーションにワンエピソードが主体。文章も淡々としていて、展開も駆け足である。
 そのため、どうしても感情の積み上げに欠けてしまう部分があり、話も劇的と言うには少々物足りない物が多い。そのため、個人的にはあまり評価は出来なかった。

 ただ、レクイエムというタイトルが示すとおり、死や別れが一つのテーマとなっていて、品のある文章に、そこはかとない哀愁が滲んでいる。文末には仄かな感動が得られる物もあった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説(短篇集)
感想投稿日 : 2011年2月8日
読了日 : 2011年2月7日
本棚登録日 : 2011年2月8日

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