辻邦生の短篇集。
花関連の雑誌に連載されていたらしく、一月に一つの花がテーマとなっていて、12ヶ月分を集めた小品。挿絵には山本容子さんの銅版画が収められている。
あとがきや挿絵を含めて100ページちょっとなので、どちらかというと掌集と言った感じ。
辻邦生というと自分は「言葉の箱」という文章指南の本を手に取ったのが一番始めの出会い。その流れで一回は氏の小説も読んでみようと思い、値段も手頃だったので購入した。
購入したのは数年前だったが、結局今までまともに読まずに置いてあった。なので、この度通して読んでみた。
とにかく文字数が少ないので、ワンシチュエーションにワンエピソードが主体。文章も淡々としていて、展開も駆け足である。
そのため、どうしても感情の積み上げに欠けてしまう部分があり、話も劇的と言うには少々物足りない物が多い。そのため、個人的にはあまり評価は出来なかった。
ただ、レクイエムというタイトルが示すとおり、死や別れが一つのテーマとなっていて、品のある文章に、そこはかとない哀愁が滲んでいる。文末には仄かな感動が得られる物もあった。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説(短篇集)
- 感想投稿日 : 2011年2月8日
- 読了日 : 2011年2月7日
- 本棚登録日 : 2011年2月8日
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