赤軍の捕虜になってからのパウルス元帥を書いた個所は20年以上前に原書が出て邦訳があるグイド・クノップの「ヒトラーの戦士たち」に「ドイツ解放軍」構想を除くとほぼ書かれている内容だ。大木毅は自身が訳した「ヒトラーの元帥 マンシュタイン」に「ヒトラーの戦士たち」が使われているので存在は知っているはずだ。それなのに「残念ながら、そうした成果はなお日本には伝わっていないようだ」と人騙しの言葉を書く神経がしれないし、おそらく「ヒトラーの戦士たち」を読んでいないので大木毅の駄法螺を見抜けない岩波書店と角川書店の編集者の勉強不足も問題だ。あるいは「売れっ子ライター様」なので知っていてもだんまりか。もっとも大木毅が朝日新聞の論座と新潮社の「指揮官たちの第二次大戦」でデーニッツ提督を書いた時にクノップの「ヒトラーの共犯者」を多用しているのに、「ヒトラーの共犯者」には「水晶の夜」の時点ではデーニッツが上官に口頭で抗議した事は書いてあるのに触れていない為にヒトラーの政権掌握と同時に「ナチの海軍士官」になったかのように読めてしまうので、朝日新聞と新潮社の編集者も似たようなものらしい。
同じ事を書いているのにクノップの本と相違点があるのは高橋慶史だけかと思っていたが他にもいたわけだ。
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- 感想投稿日 : 2023年9月21日
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- 本棚登録日 : 2023年9月20日
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