まだ遠い光―家族狩り〈第5部〉 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2004年5月28日発売)
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行動力があるあまり出世街道からは外された馬見原は
仕事では尊敬されることもあるが家族はばらばらだ。
厳しくしつけた長男は自殺して長女はグレてヤンママに。
妻は精神を患って入院し、母親も施設に入っている。
それでも家族の大切さを説き子どもを大切に思っており、
暴力団員の父親から虐待を受けていた男の子とその母親を守り
彼らと擬似家族のような関係になってしまう。
一方美術教師をしていた巣藤は教え子の亜衣から憎まれ
彼女に暴行容疑を着せられた。
さらにテレビで問題発言をして学校を辞職。
郊外に家を借りて絵を描くことにした。
児童心理に携わる氷崎はたびたびセミナーに来る女に手を焼いていた。
公共団体では出来ないような電話受付や相談会を開き
そのビラをセミナーに言っては配っていたのだ。
そして一家心中事件を中心に彼らは家族について考えていく。
装画:日置由美子 デザイン:新潮社装丁室

重い。簡単には解決できないことばかりです。
家族内で起きた問題というのはやっぱり隠したがる。
親は子どもを信じていると言って現実と向き合わない。
子どもは親がわかってくれないと嘆きさらに閉じこもるか
親や弱いものに向かって暴力を振るうようになる。
さらに親が子どもを虐待していたらどうなのか。
そこに愛情があるとは思えないが引き離されると怒る親もいる。
自分たちの家族さえちゃんとしていればよいと思っていても
別の家族のうっぷんがこちらに飛び火することだって考えられる。

解決方法は書かれていないけれど
とりあえずは事なかれ主義をやめて少しでも行動することだと。
自分の思いを話す場所があって聞いてくれる人がいれば
少しはいい世の中になるのではないか、という話です。
大きくまとめれば。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: タ行
感想投稿日 : 2010年10月30日
読了日 : 2009年2月12日
本棚登録日 : 2010年10月30日

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