断絶への航海 (ハヤカワ文庫 SF ホ 1-4)

  • 早川書房 (2005年2月1日発売)
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本棚登録 : 333
感想 : 27
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WW3の危機を目前として、4光年先のアルファ・ケンタウリ星系に人類播種計画が実行される。デジタル遺伝情報から胚を生成、ロボットに育成させる装置を載せて探査船が地球を離れた。
その20年後、植民が成功したとの連絡が入り、大規模な移民船が送り出される。移民たちが40年遅れで到着したそこには、法も契約もなければ軍も警察もなく、貨幣さえ存在しないのに平和で科学の発達した社会があった。当初、地球移民は旧世界の秩序のもとに先住のケイロン人たちを併合するつもりだったが、脱走してケイロン人の社会に溶け込む者が相次ぐ。
残された旧世界の指導者たちは先鋭化し、軍事力でもって脅迫に及ぶ…というのがあらすじ。ほぼ無尽蔵の資源、ロボットによる安価な労働力、土地と歴史のしがらみのない環境で育った人々という前提の下、ホーガンによるユートピア社会が展開される。
思考実験としてはおもしろいが、随所の詰めが甘く、都合がよすぎる感が否めない。数あるホーガン作品の中でもあまり出来がいいとは言えない(電書化されないのも納得)。これで 500ページ超は挫折する人も多そう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説・文学
感想投稿日 : 2023年10月7日
読了日 : 2023年10月7日
本棚登録日 : 2023年9月24日

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