あの薔薇を見てよ: ボウエン・ミステリ-短編集 (MINERVA世界文学選)

  • ミネルヴァ書房 (2004年7月1日発売)
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感想 : 12
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たとえば、向こうから投げられたボール、テニスボールくらいなもんだろうと、思ってたら受け取れば、何でこんなに重い?
ずしっと重みを感じて、たじろぐ。
たとえば、話ずきの猫が、面白い話をしてくれてる。話に引き込まれて、聞いていれば、つと
「話はここまで」と突然やめて、どこかへ。
ほんとに猫がどこかで、「話はココまで、あとは自分で・・・」と言われてる気分。
話は佳境へ、さてどうなる?って思った矢先におしまい。
「おい、こらまてっ、どうなるんだ、この後」と一人ごちてしまった。でもこの感覚は癖になる。
さて次の話はいったいどこまで語ってくれるんだろうか・・・予想は大概はずれるのだけど。
作者、ボウエンは、日本ではあまり有名ではない、翻訳されたのもごくわずか。(でも、不思議、この本は図書館にリクエストしたもの(昨年の12月はじめ頃)
やっと手元に来たのは今月のはじめ、約2ケ月も待たされた。
その上、「次の方がいますので・・」(延長は不可)と図書館の人言う。
妙に引っ張りだこ。)
「ミステリー短編集」と副題はついてるが、いわゆる謎ときではない。
緻密な文章、一見すれば絵になる風景、そして、人がつむぎだす「魔」そして「秘密」
少女のアンバランスな心の風景。
「あの薔薇を見てよ」
バラが恐ろしいほど、違和感あるほど咲き誇っている家の中にすむ母娘
そこに惹かれるように訪れた、不意の客。
「値切り品」
さほど、裕福でない家庭、有能な家庭教師は、なぜそこに。
中には、主人公の心的情景が、なんかよくわからんな、と思うものもある。
でも、読まずにはいられない、不思議な魅力。
やはり「魔」かな。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリ
感想投稿日 : 2007年4月17日
本棚登録日 : 2007年4月17日

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