五年の梅 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2003年9月28日発売)
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本棚登録 : 340
感想 : 60
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ほぼ15年ぶりに再読。一度目には読み取れなかった登場人物の心情が身につまされて、放り出したくなるくらいに辛い話もありました。特に「後瀬の花」。出会って、魅かれて、結婚して、でも時が経つほどに『何か違う…』という違和感が積もっていき、ある時気付かされるのです。『相手の姿を見ていたのではない。相手に、勝手に自分の希望を重ねて見ていたのだ』と。勝手に自分に都合よく、事実を曲げて受け取っていたのだと。誰のせいでもない、相手を選んだ自分が悪いのだと。
それでも、諦めずに投げ出さずに添い続けてみるもんですね。今は良かったと思えます。今のタイミングで再読したのも良い機会でした。
登場人物はみな、失敗や躓きを経験しています。つまり“しくじり先生”ですね。時代は違えど、良い先生ばかりですょ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 時代小説
感想投稿日 : 2021年7月18日
読了日 : 2021年7月18日
本棚登録日 : 2021年7月16日

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