ケータイを持ったサル: 「人間らしさ」の崩壊 (中公新書 1712)

著者 :
  • 中央公論新社 (2003年9月1日発売)
3.05
  • (22)
  • (49)
  • (174)
  • (35)
  • (22)
本棚登録 : 800
感想 : 91
4

以前一度読んでいたが、内容をすっかり忘れていたので再読した。「ひきこもり」と「携帯依存の女子高生」は基本的には同類であり、いずれも社会と交渉することを拒絶した人々とのこと。単に「ひきこもり」は社会と接触しないために部屋の中に閉じこもり、「女子高生」は外に出ているように見えて実は自分の部屋を外に拡張しているだけ。だから平気で外でも家の中にいるように大きな声で友人と会話し、地べたに座り込み、食べ物を食べる。社会との断絶の原因が実は親の過干渉にあり、今の日本人はサルの家族と同じになっている。サルは集団でいるので社会性があるのかと思うが、実はサルは集団に属してもあくまで家族としか接触を持たず、他家族との間では接触がないらしい。大変示唆に富んだ本。20年前の本だが、今読んでも遜色ない。むしろまだ携帯にメールしかない当時より、SNSの出現した今の方がよりサル化が進んでいるようにさえ感じる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年11月30日
読了日 : 2019年11月30日
本棚登録日 : 2019年11月30日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする