ホモ・デウス 下: テクノロジーとサピエンスの未来

  • 河出書房新社 (2018年9月6日発売)
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「サピエンス全史」に次ぐ著者の本。「サピエンス全史」のおさらい的なことから今後の未来を予想する内容。さらっとは読めるが、内容的にはかなり難解。完全に理解できる人がどれくらいいるのか疑問(私も理解できなかった。。。)。要約すると、進化論以来の生物学革命により神聖であった生物というものが単なるアルゴリズムによりデータ処理をしているだけの存在であることが判りコンピュータと変わらないという見地に至った。一方、人間はフランス革命以降の人間至上主義により人間が世界の頂点に君臨し、かつ人間個々は失うべからざる神聖を備えた存在として解釈されるに至った。この神聖化された人類は、科学技術の進化により寿命を延ばし、知力・体力を増強するというアップグレードが可能なところまで来ている。そのような時にインターネット革命が起こり、個人の情報は全てGAFAのような企業に蓄積されはじめ、このままいけば自身よりも自分のことを知っているコンピュータネットワークが出来上がるのも必然的であり、そのようなネットワークは人間の知能では処理しきれない多くのデータを瞬時に処理することにより、結局は人間よりも高度な生命体となり得る。一部の人間のみが自身をアップグレードすることにより同様に高度な生命体になる可能性もあるが、最終的にはコンピュータに勝つことはできず、人類が他生物を支配したようにコンピュータが人類を支配するというマトリックスのような世界が訪れるのではないかという話。ダン・ブラウンの「オリジン」のような結論だが、ハラリの人類史からの普遍的な洞察に支えられているので非常に説得力がある。しかしながら、単なるアルゴリズムが生命体に至るなどということは本当にあるのだろうか?少なくともコンピュータはいくら進化しても哲学のようなデータを効率的に処理するのには何も寄与しないような無駄なことはしないような気がするので、それをアルゴリズムの成せる業と考えるのは無理があるような気がするが、それも人間至上主義に染まった人間の傲慢なのかも知れない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2019年9月8日
読了日 : 2019年9月7日
本棚登録日 : 2019年9月7日

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