2021年、16冊目は、追いかけてる作家の一人、道尾秀介。
下上(しもあげ)町、上上(かみあげ)町、そして、二つの町の間を流れ、海へと注ぐ西取川。約40年前の西取川の護岸工事に端を発する、幾つかの出来事と、それに関わる様々な人々が交錯して行く。
道尾らしい作品。実に上手いこと、伏線回収していった感がある。読後感も悪くない。
さらに「解説」を読んで驚いたのは、第二章『口笛鳥』が中編として発表され、それに肉付けする形で、第一章。第三、四章が加えられ長編となった事実。確かに、連作短編的触感はあったが、独立した一編からとは。
第四章では、カーテンコール的にオールキャスト勢揃いも、今回は何だか「ほっ」とさせられる。
多少の事件性や死者は出るものの、ミステリーとしては控えめ。『貘の檻』がボタンの掛け違いなら、『風神の手』は連鎖的ポイント切り替えで迷走するも無事に目的地到着って感じかな。
分量はソコソコあるが、読み憎さはなく、展開ドライブ感もあり。文句ナシで、★★★★☆評価。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年10月28日
- 読了日 : 2021年10月28日
- 本棚登録日 : 2021年10月24日
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