“地獄変”はアーティストとは?という問いを芥川が投げかけているようだった。自分もアーティストとはどんな人なのかよく考える。類まれな才能があって、ストイックで、人生より芸術に重きを置いている人、私生活や人付き合いを犠牲にしてでもただひたすら、独りで何かを考えたり作り上げたりしている人なのかなと思う。例を出すと、ハリウッドの巨匠、スピルバーグや毎日コントを上げているジャルジャルとかかな。
ただ地獄変の絵師、良秀は娘を殺されてまでも、自分の求める芸術を追い求め続けた。作中の高僧は仏教的な立場から、いくら芸に優れていても、人を殺してはダメだ的なことを言っていたが、実際はどうなんだろう。自分もこれはやりすぎなのかなと思ったけど、芸術的な観点から言えば、良秀の生き方は美しく正しいのかもしれないし、芸術家とはこういう人を指すのかもしれない。もしかしたら芥川は自身の芸術家としての生き方や決意を良秀に投影したのかもしれない。
“奉教人の死”も結構好きだった。芥川の作品はこういう儚くて救いようがない話の方が好き。人物の機微をしっかり描いているから本当に面白くて読み応えがある。それと芥川の歴史ものは古文で書かれているものが多くて、古文単語とか慣れていない自分には読みにくいけど、これを機に源氏物語とか今昔物語とか読んでみようかなと思う。
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- 感想投稿日 : 2024年2月26日
- 読了日 : 2024年2月25日
- 本棚登録日 : 2024年2月26日
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