キリスト教と笑い (岩波新書 新赤版 219)

著者 :
  • 岩波書店 (1992年3月19日発売)
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感想 : 8
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「笑い」というよりは「ユーモア」に主眼が置かれていたが、楽しく読めました。ヨナ書や福音書について書かれている前半よりも、教会史〜現代の神学者カール・バルトについて語られている後半の方が、得られる者が多かった。福音書にはキリストが笑ったという描写はなかった=笑いは不要のもの・悪徳であるとした中世の神学者・宗教者たちの解釈には深い暗黒が感じられた。ユーモアなきところに恐怖ありって感じ。一方、バルトのユーモアあふれる語り口や人となりはとても魅力的に描写されていて、僕も名前しか知らないんだけれど、バルトの著作を読んでみたいと思わされた。

僕自身の考えではキリストは笑ったと思う。福音書に書かれていないのは、あまりに当然過ぎるので書かれていないだけ。キリストが行った最初の奇跡はカナの婚礼、水をワインに変える奇跡。結婚式という喜びの場で、こっそりこの奇跡を行ったキリストは、絶対に破顔して新郎新婦を祝福し、共に笑い、踊ったりしたはず。それに一切笑わない暗いメシアなんて、弟子もついていかないだろう。きっと、おっちょこちょいのペテロのしでかす失敗に、イエス一行は笑いが絶えなかったんじゃないかと。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 宗教・哲学系
感想投稿日 : 2016年2月7日
読了日 : 2016年2月7日
本棚登録日 : 2016年2月5日

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