シャングリ・ラ 下 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2008年10月25日発売)
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本棚登録 : 1431
感想 : 138
1

およそ600ページに渡るやっつけ仕事を読まされた。

世界観はとてもよく練られており、オリジナリティがある。経済の描写は最後まで丁寧にされていたと思う。
メデューサの動きについては非常によく伝わった。

しかし、適当に取り扱っている設定も多い。
説明しきれていないことが多すぎる。
この世界における霊とは何か?四種の神器とは?草薙というキャラの必要性は何だったのか?美邦の力は何だったのか?そもそも美邦は何で皇太子を目指したのか?皇太子にはどんな権力があるのか?なぜ、どのようにクローン?國子は自分の出自について聞いて葛藤はないのか?何でミイラ?國子の少年院設定必要だった?そういえば眉間トントンってどうなった?

特に後半が酷くて、見開き2ページごとに人物の新しい設定が登場して、それが小説中二度と拾われない。
涼子の描写のやっつけ感はすごいものがある。戦闘中、突然彼女の過去の回想がぶちまけられる。しかし読者が彼女の過去に関心を持つためにはそれだけの積み上げが必要だ。それがない以上、彼女が完璧な体でどうしようが関係ないとしか思えない。彼女がタルシャンと何をしようが知りたくもない。
全体を通して、人物を描けていない。

600ページもあるのだが、多分もう600ページくらい足りていない。
緻密な描写のためのページ数には、読者はちゃんとついていける。
きっと作者の頭の中では完璧に論理的な流れに感じられていると思うので、それをもう少し文字に起こすべきだった。
不要な戦闘シーンを削ればもっと紙も節約できたはず。

小さいことだが、絶叫が一々「ぎゃああああ!」なのは何とかならないか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年8月23日
読了日 : 2022年8月23日
本棚登録日 : 2022年8月23日

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