きのうの影踏み (幽BOOKS)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店 (2015年9月26日発売)
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本棚登録 : 1550
感想 : 252
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怪談には死者の〝思い〟が込められている。
失った〝大切な誰か〟を思い出して欲しいーー。
新しい怖さの13篇の怪談。

「十円参り」
小学校の頃にはやってたおまじない。
それは嫌いな人、〝消したい〟人の名前を書いた紙を、
十円玉と一緒に十日間続けて賽銭箱に投げ込むと、
その願いを成就させることができるというものだった。
ある日、ミサキとマヤは消えたなっちゃんについて
相談していたのだが--。

「だまだまマーク」
幼稚園に通い始めた三歳の息子が「だまだま」マークと言い始めた。
ある日、年配の先生にその言葉について尋ねると、
先生の表情が固まって--。

「七つのカップ」
どうか女の子の霊が現れますように。
おばさんとその子が会えますように。
交通事故で亡くした子を待ちわびる母の願いは祈りになった--。


怪談小説と言っても、ほんのりゾワッとしたり、
懐かしさを感じたり、とっても切なかったり、
ちょっぴり不思議な優しい恐怖のお話しです。
この世の中は不思議なことで満ちているのかもしれない、
恐怖は日常のすぐ隣にあることを想像させられました。
続きが、気になって仕方がない…。
お話の主人公達は、この後どうなったんだろう…と思わされた。
最後の「七つのカップ」では、涙がこぼれました。
幽霊も誰かの大切な人だったんだよね。

きっと、辻村さん自身の実体験や周りにあった出来事なんだろう
なぁって感じました。
辻村さんのプライベートも感じられて嬉しかった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ホラー
感想投稿日 : 2016年3月3日
読了日 : 2015年11月17日
本棚登録日 : 2016年3月3日

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