東京會舘とわたし(下)新館

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  • 毎日新聞出版 (2016年7月30日発売)
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時を超えて受け継がれる想い…。
東京會舘に纏わる昭和51年から平成27年までを描いた5つの連作短編集。

・金環のお祝い        昭和五十一年
・星と虎の夕べ        昭和五十二年
・あの日の一夜に寄せて    平成二十三年
・煉瓦の壁を背に       平成二十四年
・また会う春まで       平成二十七年

皇居の隣、ちょうど二重橋の正門の真向かいに大正十一年。
国内で初めて民間の力でなる社交場。東京會舘は創業した。
昭和四十六年、新館への建て替えを経た東京會舘。

上巻は、激動の時代に翻弄された東京會舘の姿を描いていましたが、
平和な時代の東京會舘。年月を経るにしたがい親から子へ、そしてまたその子へと、
東京會舘が愛される様子が丁寧に描かれている。
働くスタッフの姿は、創業当時からの思いがしっかりと受け継がれていて、
変わらず、何年経ってもとっても素晴らしいおもてなしに胸が熱くなりました。
どの章も、とっても温かかったり切なかったり涙が零れて仕方なかった。
涙が文字で見えずに何度本を閉じた事か…。
読み終えるのが勿体なくって、ひとつひとつの物語を大切に読み進めました。
第9章の直木賞を受章した青年のお話は、勿論フィクションでしょうが、
辻村さんのエッセイに書かれていた事と重なるので、
想いはきっと辻村さんなんだろうって思った。

平成27年に建て替えの為に一時閉館し、30年に新・新館がオープンするそうだ。
いつか、東京會舘に行きたいです!

長く愛される建物には、それだけ多くの人。
そこで働く人、訪れた人それぞれに建物に纏わる様々な思い出がある。
人が集まって沢山の思いが溢れて、その建物が温かいんだと思わせてくれた。
本当に、凄く素敵な物語でした。
はーーー良かった~ :.* ♡(°´˘`°)/ ♡ *.:

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 連作短編集
感想投稿日 : 2016年9月11日
読了日 : 2016年9月11日
本棚登録日 : 2016年9月2日

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