湖の国

  • 講談社 (2019年10月17日発売)
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感想 : 15
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高校中退で、介護施設でアルバイトをするミト。
担当の沢井のおばあちゃんが東北に買った湖の前の家が気になって行ってみると…。

姿は関係なしに、本質に惹かれるというのは、素敵なことなんだろうけれど。
現実的な部分が気になって仕方がない。

バイトとはいえ、仕事で知り得た情報で、行ってもいいと言われたわけじゃないのに、勝手に人の家に入るとか…。
何も事件が起きなかったら、沢井のおばあちゃんに行ってきたことを報告するつもりだったらしいし、勝手に行ってきたことを聞いたらどう思ったんだろうと考えてしまう。
これが親戚とかならまだしも…。
最初から、このあたりで引っかかってしまって…。

途中、沢井のおばあちゃんの家で数ヶ月過ごすわけだけれど、光熱費はおばあちゃんの口座から勝手に引き落とされてるから、そのあたりのお金を無断で使ってるわけだし。
隣町にバイトに行って生活費稼いで、ヨシノとずっと暮らしていける気がするみたいな描写があったけれど、そもそも無断で住んでるし…とか。
最後も、猫になった兄者とそのまま、この家で過ごしていくような流れだったし。
こうなれば、流石に事情を話して、住まわせてもらうのかもだけれど…。
既に数ヶ月勝手に住んでましたと、言われたらどう思うんだろう…とか思ってしまった。

湖の国、桃源郷…。
湖の国の住人になっても、たまに現世に行ってくることも出来る。
でも、逃げ出そうとすると容赦ない。
仕組みとか伏線はよかった。

最後の20ページくらいが怒涛の展開だった。
あと少ししかないのにどう終わるの…と。

ミトたちが逃げたあとは、監視役の鈴木さんの役目も終わって、湖の国は完全に閉鎖状態なってしまったのか。
こっちから向こうに行った人は満足したら、いずれ消えるけれど、もともといる向こうの住人はどうなるんだろう。

あとは、ヨシノの正体が男でよかったね、という。
途中、ヨシノの正体が分からないうちから、恋してたわけだし。
女でも親友みたいな感じでずっと付き合えるかもだけど。

ヨシノもきっと戻ってくる、で終わったけれど、兄者と同じように猫や犬になって戻ってきたらどうするのかなー。
人間の男になって戻ってきてハッピーエンドで終わるよりは、その後が気になる分成功だけれど…。
虫とかだったらどうするんだろ…。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2020/04
感想投稿日 : 2020年4月12日
読了日 : 2020年4月12日
本棚登録日 : 2020年4月12日

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