月は幽咽のデバイス (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2003年3月14日発売)
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本棚登録 : 4135
感想 : 292
3

ネタバレの内容になるが・・・

Vシリーズのうち書店にあった2冊目。
読了して感じたこと。やはり、「探偵」側に何か少しでもやましいことをしている人物がいると、それが本筋の事件とは関係がないにしても、個人の意見として、どうも興を削がれてしまうようだ。本作では探偵本人がというより、おなじみのメンバーの中にという意味だが・・
なぜだろう。やっぱり私がミステリーに求めているのは「安心」したスリルなんだと思う。探偵は、謎を解く側は、やっぱり、できればまごうことなき正義のヒーローであってほしいのかも。
古い価値観なのかもしれないが。
また、同シリーズ第1作の時は、論理的に鮮やかに犯人を見抜いていて気持ちが良かったが、本作は、伏線などはあったものの、解答はやや飛躍的なのかなとは思った。見取り図が欲しくなってしまった。そして、最後に庭で遊んでいるものの正体は結局ぼかされている。物理学的というか力学的な面ではおそらく全く破綻がないような真相なのだと思うが、そういう生物が本当にいるのか、人が手なずけられるものなのか、まだ飼い続けててもいいの?という、生物学的?な詳細は依然ぼかされていた印象だった。
本格ミステリをうたっているわけではないし、全体としては面白かったけれど、一部では数字を出して論証等しているのに、他方では輪郭を曖昧にしている面がある印象があった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年1月17日
読了日 : 2021年1月16日
本棚登録日 : 2021年1月16日

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