ずっと触れていなかったフランス語を少しでも思い出そうと本棚にある本書を手に取った。一度大学で勉強していたので、内容はすらすらと追うことができた。このように、本書は一度学んだことのある者が、再度文法を概観したり、フランス語の原文の引用も多いので、その調子を思い出したりするのに最適であったと思う。
フランス語そのものだけではなく、「星の王子さま」を再読する際の手引書としても良書ではないだろうか。物語のあらすじを追いながら、内容的に重要な意味を持つ箇所や、著者がぜひフランス語の原文を味わってほしいと考えられた箇所が挙げられていて、「星の王子さま」を読み返した気にもなるし、フランス語も分かったつもりになってしまうような本であった。
フランス語の原文を読む楽しさを、久しぶりに素直に感じることのできた素晴らしい本だった。また、「星の王子さま」そのものへの解説書の役割も果たしている。例えば、
・serieuxの持つ複数の意味合い(何をシリアスとみなすか)、・onを使うことによる一般化、onは英語にはないこと、・「大人」と「子ども」の違い、・et一つでも意味がたくさん、英語や日本語ではもう少し説明的になってしまうところを、フランス語ではonなどを使い意味の使い分けができる、など、他言語の表現との比較などを説明に用いて、語学的な解説を内容的な、文学的な解説にまで高めていることが本書の特長で、しかも小難しくならずに、わかりやすく解説している。このような良書を今までなぜ積読していたのか。。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2019年6月3日
- 読了日 : 2019年6月3日
- 本棚登録日 : 2019年6月3日
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