いや~、面白かった~☆
タイトルにもなっている<甘糟(あまかす)>くんは、まちがいなく「警察小説史上、もっとも気弱な刑事」だ。
今野氏の<任侠シリーズ>でちょい役で出てくるあの”彼”である。
任侠シリーズでも彼はぼやいているけれど、本作ではぼやく、ぼやく。とにかく、ぼやく。
ぼやき節が止まらないし、冴えてさえいる。
そんな史上最強の”気弱”な刑事が、なんと、マル暴なのが驚きだか(→ここは本人も自覚している)、もっと驚きなのが、なんだかんだ言って、マル暴として優秀な刑事なのだ(→ここは本人にまったく自覚がない)。
暴力団構成員が殺害されたことでストーリーははじまるが、そういうものを扱いながらも物騒なきなくささはまったくない。
なんだろう、こういう書き方ができるところが今野氏のすごいところなのだろうな。
「もし、俺がグレてなくて、あんたが警察官じゃなかったら、いっしょに飲みに行ったりできたかな」
やられたぜ~い。
こんなことを言われたら、もうどうしたらいいんだろう。
とにかく甘糟くんのぼやきをはじめ、上司の郡原やヤクザ側の人物たちとの会話が絶妙で、ときに「え!」を声をあげ、ときにくすっと笑いながら、気づいたら甘糟君のファンになっていた。
これ、シリーズものとして続編に『マル暴総監』があるようだ。
こっちも読んでみよう。
===データベース=======
甘糟達夫は「俺のこと、なめないでよね」が口ぐせのマル暴刑事だ。
ある夜、多嘉原連合の構成員が撲殺されたという知らせが入る。
コワモテの先輩・郡原虎蔵と捜査に加わる甘糟だが、いきなり組事務所に連行されて―!?
警察小説史上、もっとも気弱な刑事の活躍に笑って泣ける“マル暴”シリーズ第一弾
- 感想投稿日 : 2021年4月22日
- 読了日 : 2021年4月21日
- 本棚登録日 : 2021年4月21日
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